この記事でわかること
- 産業医選任報告書の記載項目と書き方
- 提出先・提出期限・提出方法(電子申請・紙)
- 産業医を変更したときの手続き
結論
産業医が決まったら、所轄の労働基準監督署に選任報告書を提出する必要があります(労働安全衛生規則第13条)。
提出期限は「選任すべき事由が発生した日から14日以内」です。産業医と契約を結んだら、速やかに届出の準備を進めてください。
選任報告書の様式と入手方法
産業医の選任報告に使用するのは「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告」と呼ばれる様式です(旧様式第13号に相当)。
厚生労働省の公式ページからダウンロードできます。
厚労省 様式ダウンロードページ(選任報告) → https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei36/20.html
提出方法は電子申請が原則です。詳しくは「提出先と提出方法」で説明します。
様式の記載項目と記入例
この様式(様式第3号)は、光学的文字読み取り装置(OCR)で直接読み取る仕様のマークシート形式です。1マスに1文字ずつ、黒のボールペンで大きめの文字で記入します。鉛筆や消えるボールペンは使えません。
実際の様式PDFに、記入する内容を赤字で、欄の意味の補足説明を青字で書き込んだものが以下です。どのマスに何を記入するかは、文章で説明するより画像を見たほうが早く分かります。
※画像をクリックすると別ウィンドウで拡大表示されます。画像内の赤字はアンカー産業医事務所が作成した記入例、青字は制度の補足説明です。事業場名称・氏名等は架空のものです。実際の記入内容は自社の状況と産業医への確認をもとに記入してください。様式は改版される場合があるため、記入前に必ず厚労省の様式ダウンロードページで最新版を確認してください。
画像内では省略した点が2つあります。
- 参考事項: 初めて産業医を選任した場合は「新規選任」と記入します。産業医選任報告の場合は、これに加えて産業医の専門科名(開業している場合はその旨)も記入するとされています(労基則の記入要領より。画像では簡略化のため「新規選任」のみ表示しています)。
- 専属の別・専任の別: どちらも産業医本人の契約状況によって変わる欄です(画像内の青字を参照)。記入前に必ず本人に確認してください(要確認)。
「産業医の場合は医籍番号等」の種別コード(別表)
| コード | 該当する要件 |
|---|---|
| 1 | 厚生労働大臣指定の医学知識研修(法人が実施するもの)を修了した者 |
| 2 | 産業医科大学等、厚生労働大臣が指定する大学の産業医養成課程を修了した者 |
| 3 | 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生区分)合格者 |
| 4 | 大学で労働衛生に関する科目を担当する教授・准教授・講師の職にある(あった)者 |
| 5 | 労働安全衛生規則第14条第2項第5号に規定する者 |
| 6 | 平成8年10月1日以前に厚生労働大臣が定める研修の受講を開始し、修了した者 |
| 7 | 上記のいずれにも該当しないが、平成10年9月30日時点で産業医としての経験年数が3年以上である者 |
どのコードに該当するかは産業医本人に確認してください。医師免許証の写しに加えて、該当コードを証明する書面(または写し)の添付が必要です(例:コード2なら産業医科大学の卒業証明書等)。
提出先と提出方法
提出先:事業場の所在地を管轄する労働基準監督署
所轄の労働基準監督署は、厚生労働省ウェブサイトの「都道府県労働局・労働基準監督署所在地一覧」で郵便番号・住所から検索できます。
電子申請(e-Gov)が原則の提出方法
令和7年(2025年)1月1日から、産業医選任報告を含む労働安全衛生関係の一部手続きは、事業場の規模を問わず電子申請が原則義務化されています。以前は「常時100人以上の事業場のみ電子申請義務」でしたが、現在はこの区分はなくなっています。
厚生労働省の入力支援サービスの画面上で項目を入力し、e-Govを通じてそのまま電子送信できます。
入力支援サービス:https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/
窓口持参・郵送でも提出できる場合(経過措置)
電子申請を行うパソコン・インターネット環境が整っていない事業場は、当面の間の経過措置として、従来どおり紙の様式での提出が認められています。
窓口持参: 様式を2部印刷して持参し、1部に受付印を押してもらって控えとして受け取ります。
郵送: 様式を2部同封します。1部は受付印を押した後に返送してもらえるよう、切手を貼った返信用封筒(宛名を自社宛に記入済みのもの)を一緒に入れてください。返信用封筒がない場合、控えが戻ってこないケースがあります。
経過措置がいつまで続くかは今後変更される可能性があるため、紙での提出を検討している場合は、提出前に所轄の労働基準監督署に確認することをおすすめします。
50人超えのタイミングと選任期限
従業員数が常時50人以上になった時点で産業医の選任義務が発生します。
| タイミング | 対応 |
|---|---|
| 50人以上になった | 速やかに産業医候補を選定する |
| 産業医との契約が成立した | 14日以内に選任報告書を提出する |
| 産業医が不在になった | 14日以内に新たな産業医を選任・届出する |
従業員数が50人に近づいてきた段階で産業医候補を事前に探しておくことをおすすめします。50人を超えてから探し始めると、14日以内という期限に間に合わないケースがあります。
産業医変更時の手続き
産業医が変わった場合も、手続きは新しい産業医の選任報告書(同じ様式)を提出するだけです。「解任届」「辞任届」のような別書類は、原則として必要ありません。
様式の「選任年月日」には新しい産業医を選任した日付を記載します。前任産業医との契約終了日と新産業医の選任日が重ならないよう、引き継ぎスケジュールを組んでおくことが重要です。
産業医が不在になる期間を作らないことが法令上の原則です。前任産業医の退任が決まったら、退任前に後任産業医との契約を完了させておいてください。
FAQ
Q. 産業医が決まる前でも届出はできますか?
できません。届出は産業医選任後に行うものです。
産業医が未定の状態で届出書だけを先に提出することはできません。まず産業医との契約を締結してから届出を行ってください。
Q. 提出を忘れていた場合はどうなりますか?
選任報告を怠ると、労働安全衛生法違反として罰則(50万円以下の罰金)の対象になります(労働安全衛生法第120条)。気づいた時点で速やかに届出を行ってください。
Q. 「常時使用する労働者数」にパートや派遣は含みますか?
含みます。パート・アルバイトは週の所定労働時間が正社員の4分の3以上かつ継続雇用が見込まれる場合が対象になります。派遣社員は派遣先の事業場の人数に含まれます。50人前後の事業場はカウント方法を産業医または社会保険労務士に確認してください。
Q. 複数の事業場がある場合、まとめて提出できますか?
できません。事業場ごとに届出が必要です。複数拠点がある場合は、各拠点の所在地を管轄する労働基準監督署にそれぞれ提出してください。
まとめ
産業医の選任届は、産業医との契約が成立したら14日以内に所轄の労働基準監督署へ提出します。様式は厚労省ウェブサイトからダウンロードできます。
今すぐできること:
- 事業場の所轄労働基準監督署を確認する
- 厚労省ウェブサイトから選任報告書の様式をダウンロードして内容を確認する
- 産業医から「医籍番号」と該当する種別コード(別表1〜7)を確認する
アンカー産業医事務所では、産業医の選任手続きのサポートから、選任後の衛生委員会運営・各種面談まで対応しています。京都・大阪・滋賀・奈良・兵庫での対応が可能です。
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